首都はアンマンです。
イスラエル、パレスチナ暫定自治区*、サウジアラビア、イラク、シリアと接するところにあり、日本からはあまりに遠く、分かりにくく、テロ事件等の情報しか入りにくいため、「危ない国」のような捉え方が一般的ではないでしょうか。
実際は極めて安全な国のようです。殺人事件などの凶悪事件は滅多に起こらないようです。
夜に日本人女性が一人で、街中を歩いても大丈夫だと思います。
実際に夜遅くに女性一人で歩いているところも頻繁に見かけました。
今回は観光的なことを書くのではなく、首都アンマンの街の状況から感じたことを書きたいと思います。
写真にも載せました通り、道沿いは市街地、郊外とも、元々ビルが建っていたと思われるところが、至る所で空き地になっていることです。
もうそれは空き地だらけです。
少しデータ的なところを整理すると、
通称ヨルダン王国は面積が北海道程度で、人口も同じ程度の560万人ぐらい。
GDPは北海道が20兆円程度、これはデンマークと同じくらいです。
この数値を見ると、北海道もすごいな、と感じてしまう。
それに比べ、ヨルダンは1兆3000億円程度でかなり低く、日本で一番低い地方自治体の鳥取県(2兆円)より少ない水準です。
しかしながら、その空き地ですが、ここにビルが乱立する予定のようです。
ここにもグローバルキャピタリズムが侵食しているのだと実感しました。
少しショックでした。
街の真ん中の元軍事施設跡では、大規模複合施設が24時間のフル稼働で建設中でした。
ここもドバイのようなピンピカのビルやモールが建つのでしょう。
働いているワーカーはもちろんヨルダン人ではなく、中国やパキスタン、インドといったアジア人が中心で、中東の発展の底座さえをしているようです。
いわゆる3Kには手を汚さずに、おいしいところだけ享受するという構図が中東の発展の構造になっています。
順調に行けば、2年後にもう一度訪れれば、街は一変していることでしょう。
ですが、この世界的な金融危機の影響は、恐らくここにも現れてくることだと推測します。
日本のバブル、サブプライムの元にある「土地神話」という土地は永遠に高くなるという
ものに乗っかった危うい前提条件が、この開発の根っこにあるわけです。
それが崩壊すると、資金の流れが止まり開発がストップするのは目に見えています。
アンマンは建設ラッシュという、まだその前の段階です。
この先の状況を今後とも見守りたいと思います。
そもそも論ですが、
ヨルダンの発展を妨げているのは、このアラブの地区にありながら、石油が出ないことが一番のネックにあると思います。
いわゆる非産油国です。
それから、砂漠国ですので、なんと言っても雨が降らないのです。
一人当たりの降水量は世界の国々の中でワースト3という残念な状況です。
これでは、農作物は作れず、また工業化にも必須の水ですので、その確保が極めて困難な状況です。
このように書きましたが、珍しく、アンマン滞在中にまとまった雨が降りました。
乗っていた車のワイパーが壊れていて使えなかったようです。普段は使う必要がないので、壊れていても直していなかったのでしょう。
*パレスチナ暫定自治区はヨルダン川西岸と呼ばれるのは、ヨルダン川と死海が国境にあるためです。それからガザ地区もパレスチナ暫定自治区でヨルダン川西岸とは飛び地になっています。ガザ地区は100万人、ヨルダン川西岸には300万人が住んでいると聞いています。