日本人の桜観

芦部 最近は、寒の戻りか少々寒い日々が続いています。
その影響でソメイヨシノの開花が早かったにも関わらず、長い間その華やかさを楽しませてくれています。
 桜は何百という種類があるそうです。
 この4月1日という年度替わりの後にソメイヨシノが一斉に開花して、新入社員を迎え入れ
会社は大変ながらフレッシュな新たな力が加わって、とても新鮮で明日への希望が感じられる
季節です。
 しかし、新入社員を受け入れて、ソメイヨシノが一斉に咲き、そしてその地域で一斉に散っていった
 後はもうあまり他の桜に気にかけない私がいました。
 しかし、今年は他の種の桜がソメイヨシノの後に咲きだして満開を迎えようとしているんだ、ということに私の心のウエイトが少々移ったようです。
目が心とともに、ある変化をもたらしているようです。
温暖化かどうかは分かりませんが、ちょっとした気温の変化で桜の咲くのが1~2週間早まると、この年度替わりの時期と合わさって微妙に心の変化をもたらしてくれます。
 たった1~2週間の変化、温度も3月の中旬に暖かかっただけで、このような変化をもたらすのですから、世界中の気温や湿度、それに雨量の違いは、相当に我々人間の心のあり方を決める重要な要素となっていることは間違いないことだと思います。
 砂漠地帯とと四季の移ろいの変化が激しい日本との心のあり方の違いは、火を見るより明らかでしょう。

 話は戻りますが日本は桜が好きです。
 
 敷島のやまと心を人問はば朝日ににほふ山櫻花

本居宣長は詠みました。
 宣長古事記について生涯を費やした我々の日本人のとって誇り高い先輩・偉人です。

 その記紀神話に出てくる木花咲耶姫(このはなのさくやびめ)
は皆様もご案内の日向神話の天照大神の孫が天孫降臨としてニニギノミコトとして降り立った
神様の妻です。
 その「このはな」の木花は桜の花のことです。
今から約1300年前にもこのような神様の名前にも使われたことから、それ以前のずっと昔から
桜が我々(倭人であり日本人)の心に沁みわたっていたことを、思い知らせてくれます。

 菊や梅も日本人には大切な花であり木ですが、歴史をさかのぼると、それらよりもっと深いところに桜の木・花が我々の心を動かし続けてきていることが分かります。

 日本人とはこの桜とともに歩んできた歴史なのだと思います。
無常観という言葉も日本人観を表わしますし、桜はその観そのものだと思うのです。
新年度に入りちょっとこのような感覚を覚えましたので書いておきました。