デジタルとアナログの差って何だろう。

 最近、私としてはオーディオを始めて、初めてというくらいCDプレーヤーをよく聴いています。
 それだけ聴けるような質感が感じられるようになったということだと思います。

 以前も世間的には評価の高いプレーヤーは持っていて、聴いたこと(トライ)したことはありましたが、
 アナログがこれだけ鳴るのに、なぜ貴重な時間を使ってデジタルを聴かなければならないのか、
 というけっこう根源的な問いを自身に発して聴くことを止めては聴き、止めては聴きということを
 繰り返しながら、ほとんどがアナログを聴く生活をしていました。

 それがここ一年、あるプレーヤーと出会い、その設計書も手に入り、1986年製ということで、
 設計思想がアナログ的な回路であったことと、基本性能が高いこと(ただお世辞にもオリジナル状態では聴けたものではありませんでした。)もあり、和歌山の師匠を煽ったことも手伝って真剣にバージョンアップし続けてくれました。

  その最初のバージョンアップの考え方が、プリやパワーアンプで培ったノーハウを注ぎ込んだ
 ものを導入できたことが大きかったんだと思います。

 けっこう目からうろこ状態のような劇的な質的向上の伴なった変化でした。
 バージョンアップ・ワンというものです。(今となっては聴けないくらい劣位の音になるくらい
 の変化をしていますが。)
 世の中の方もコンデンサーを交換して質的に向上をさそうとしていて、実際アップしている方は
 いらっしゃるようですが、それはもうかなり以前からトライしていましたので、
 今回のバージョンアップとは関係ないとは言いませんが、設計思想と関係のないもので改善レベル
 の問題でした。

 それではやはり「聴きたい」というレベルには至りませんでした。
 数百万のものもお借りしましたが、それは確かにレベルは上がり高価なことだけはある、という
 ことは認めましたが、聴きたいが持続しませんでした。
 
 やはりデジタルでは無理なことというのがここ20数年の結論に近いものでした。
 それが昨年の約一年前のバージョンアップで雰囲気が変わりました。
 改善レベルではなく、「ウン」何かが違うな感じました。
 それからバージョンアップの連続で見た目の形以外は殆ど別物の中身になってしまいました。
 もう側もオリジナルで作り変えたいと本気で思うくらいです。

 この現行のバージョンアップした4モデルになり、本当に7割ぐらい聴いています。
 
  しかし、…ですが昨日仕事から帰ってきてから、それに今日とアナログを聴いていますが、
 やはり差があります。
  しかし、デジタルに戻してもずっと聴けるくらいですから、依然と次元の違うデジタルに
 なったことは間違いないのです。

  でもアナログを追い込む(LINN LP12とラディカルの最新バージョンのフルシステムでも持って
  いますが無理!)とデジタルでは達しえない世界があることが分かります。

  それを言葉で表すことは非常に難しいのですが、音を電子顕微鏡で視ることは無理なのですが、
  その微粒子(波形)を取ってみるとおそらく、そこには最近では1/100mmでは分かりえないレベルに
  きた感じがするですが、1/10000mmにするとそこにはデジタルでは「滲み」が視えるような
  気がします。

  滲みのない世界はある意味、「素っ気ない」音になってしまいます。歪という言葉でも良いかも
  しれません。その歪が人間の耳には心地よいことは多々あります。それがドンシャリ好きな
  オーディオマニアの魅力になっているのだと思います。

   生唾がでるような高級オーディオショップに行って聴かせてもらっても、はやり滲んでいるな、
  とすぐに感じてしまいます。一般には心地よいのかもしれません。
  私もそれを心地よいと感じたことはあります。オーディオを趣味としている人は間違いなく
  そこを通ります。そこに居続ける人は殆どです。
  趣味ですからそれで良いと思います。

   しかし私は無常観という言葉がしっくりきていて、留まることを嫌います。
  つねに先を観たいと思っています。
  そこには基層なる概念の変更という大きな気づきが必要になってきます。
  あとは松下幸之助の好きな言葉である「素直」が必要なのかもしれません。
  拘りも重要なことですので、そこには矛盾があります。
  
  そこのジャンプは1人ではできません。対話を通し、また違った分野の深い気づきも必要に
  なってくることでしょう。
  色なん体験を通して、また哲学的な考えを深めることで、新たな創造に向かっていかなければ
  ならないのだと思います。
  留まって音楽に浸る方は、それはそれで何も問題なく素晴らしいことであることも認識しています。

  私はただ留まりたくないタイプです。仕事柄もありますが、探究したいのでこのオーディオにも
  それを求めます。
  オーディオにもと書きましたが、オーディオのほうが仕事より先輩ですので、オーディオのほうが
  根源的なのかもしれません。

   いずれにしましても、デジタルとアナログの差異は今もって埋められていません。
  パッと聴きはデジタルのほうが良いくらいです。
  アナログが線が細いからではなく、芯は逆に太いのに滲みがない、とはいいきれませんが、
  少ないのだと思います。その滲みの少なさが素っ気なく聴こえるためです。

   そのことが良くわかるのは同じ曲のたとえば拍手の音、しかも30m程度奥の人の拍手は
  10年前のシステムではアナログもデジタルも拍手が混濁してしまっていました。

   今は、それがアナログでは奥行きを持ってそれが聴き取れますし、拍手の肉感まで感じとれます。
  デジタルもそれがかなりなレベルまできましたが、まだ残念ながらそこまできていません。

  周波数帯域の問題は大きいとは思いますが、そのせいだけにしていた時もありましたが、
  どうもそれだけではないことも視えてきました。

   これからも概念が広まったり、深まったりしながら無常観を楽しみデジタルもアナログも
   もっと深めたいと思いつつ、今の考えを書き綴っておきました。