オーディオのF1を目指すが・・・

 最近またよりオーディオに力を入れています。
本もはやり読んでいます。
年間200冊を読んでいますが、今年は少し冊数を落として100冊程度にしたいと思っています。その分オーディオに、ということではなく、大著を読みたいと思っているからです。
ここ一月もそのようなものを読み出しました。小説や新書は一日で読めますが、大著になると3日では苦しく1週間でも苦しいものもあります。
これを書いている時に届いたロバート・K・マートン『社会理論と社会構造』みすず書房などは一週間でも読む自信がありません。
これを書き始めましたのもある哲学書を一週間かけて悪戦苦闘の末に読み終えましたので、その余韻で書いています。
 私と師匠は、車というメタファーを使うと、一般公道を制限速度の40km/hで走るような感覚の走法の音づくりを
 しています。
 制限速度40km/hと言いましても普通はそれを数キロオーバーで走っていることが多いと思いますので、こちらの車の動きが遅く、後ろの運転手には「遅いな」と思われイライラされるかもしれません。
我々は周りに緑や、街並み、その垣根の花々の美しさを感じながら、走るというプロセスを楽しんでいるのだと思います。
 十数kgの真空管アンプ、28年前のCDプレーヤー同じころのLP12というアナログプレーヤー(最新のLP12も所有していますが・・・)をメインに聴いています。
ただ、F1にチューンアップしています。
ただ、世の中のスーパーハイエンドのようなモノラルで左右それぞれ100kgもあり、CDプレーヤーもトランスポート、DAC(私も持っていますが・・・)で鳴らすのでハイエンドでは当たり前になっています。
しかし、F1の世界はそんなに重くては走れません。
オーディオでは部品点数が多すぎると思っています。そこを全て信号が通るわけです。音づくりに大切だから、そこまで部品点数やら物量を投入するということでしょうが、そんな中では、鮮度感は間違いなくおちます。
それはF1ではなく一般コンシューマー用だから致し方ないのかもしれません。
 それに西洋のハイエンドは50畳を超える部屋に4mにも及ぶ天井高を風土性として設計思想の中にどうしても
入っています。足し算の美学ということが言えるでしょう。
 それが日本の制限速度40km/hのところで必要でないことは間違いのないことです。
その物量投入という西洋思想の呪縛を解いて、部品点数をいかに少なくするか、という日本の引き算の美学に当てはめた設計思想とはどうしても祖語が生じます。
 それだけのかけたコストを部品を少なくして、部品一つ一つに傾注すると素晴らしい音づくりができると思うのです。
 1000万円クラスでも中を覗くと抵抗があんな安いのが入っていて、そこを信号が通ると思うと残念でしかたがありません。せめて100倍ぐらいコストをかけた抵抗使って欲しいと思ってしまいます。抵抗を代えるだけで間違いなく音の鮮度は上がると思います。
音づくりという全体観を捉える力は海外の設計者にはとても感じられます。それはとても勉強になります。
その音づくりの全体観を学び、日本の引き算の美学でもって、新たな音づくりの装置ができれば、見事な
日本でしかできない素晴らしい装置ができるはずであり、かつそれが世界にも通用するものであると確信するのです。
私もF1のように0-100km/h, 3秒弱  0-400m 10秒を切るようなアンプやスピーカーセッティング(ネットワーク)は造れますが、それは望んでいません。あくまで40km/hの世界です。そのつくりは最高に出しても60km/hのアンプです。しかし部品はF1なのです。そのような設計思想です。
そこに普遍性を求めています。
それはとても個性がないように感じますが、とても個性的なものが出来上がっていると思います。
個物と普遍の相即という哲学用語で語れると思うのです。
ますますそこに磨きをかけていきたいと思います。