たまたま、日経新聞(2007/9/5朝刊)の「経済教室」に異分野の視点として
「「モラルの経済」を追求せよ」という日本人からすれば、「しっくり」と
くるまとめがされていたことから、著者を知らなかったが、ネットから調べ
購入して読んでいるというのが、この本との出合いなのである。
船曳建夫さんの『右であれ左であれ、わが祖国日本』PHP新書(2007)というものだ。
この題は、ジョージ・オーウェルの『My Country Right or Left』を元にしているようだ。
この本の著者の専門は、文化人類学のようだ。
前回の中西輝政さんのように、政治学や国際関係論を専門としている立場と違ったアプローチから
書かれているので、新鮮な見方を提示してくれている。
それが、社会人類学的なアプローチなのだろう。
日本のアイデンティティや日本人論を再考しようという流れは、ある種の「不安」がそうさせる
のではないか、というのが船曳さんの主張である。
その分析は、この本の本質のところではないが、「たしかに」と感じるところである。
まさに、9.11が起こり、イラク戦争に突入し、その後の混迷ぶりを見て、今後のアメリカの未来が
必ずしも明るくない、と見ている日本人が多い証拠でもある。
日米同盟が確固とした絆で結ばれていることは、間違いないが、その大巨人のアメリカが
ふらふらし始めた上に、隣の中国は猛烈なスピードで経済力をつけ、そのうえ、政治力も
あるとなれば、日本にとってどちらを今後見て生きていけばよいのだ?という「不安」が
そうさせている、と言える。
とにかく、読み進めることにしたい。