アナログにこだわる訳・・・その3

Sさん:

なおさん、議論を整理していただいて有難うございました。
私も『音と文明』を読んでみます。

CDが出来たのは今から25年前。当時CDの規格を作るときに考慮された点は人間の可聴周波数帯域とデジタル化したときのデーター容量、CDのサイズ、などが大きなポイントだったと思います。人間の可聴周波数帯域は20Hz ~ 20KHzと言われており、CDのサンプリング周波数はこれを考慮して44.1KHzに選ばれ半分の22KHzの音声帯域を再生できるようになっています。勿論、もっと高いサンプリング周波数を選んで再生帯域を広げることも可能ですが、一方で、12cmというCDの大きさ(データ容量として700MB)の中にクラッシックの大多数の曲が収録できるように75分相当のデータを記録するためにはデータ量を制限する必要もあり、今の規格に落ち着いています。

なおさんの説明にあるように、実際は、人間は可聴帯域を越える音も感じており、それがCDの音の物足りなさの原因になっています。その反省に立って、現在は、SACDDVD-Audioと言う新しい規格が考え出され、100KHz以上の周波数帯域が再生できるようになりました。おそらく、SACDに対する録音技術がよくなればアナログレコード以上の音が再生できるようになると思われます。

でもここに問題があります。マスターを作るときにミキサーと言う機械を使うのですが、最近のミキサーはデジタル化されてきており、そのサンプリング周波数はせいぜい96KHzなのです。と言うことは、帯域的には50KHz程度しか再現できないということです。SACDDVD-Audioに対する信号処理としてはこれでは不十分です。当然レコード会社はこういうことは分かっているはずでSACDを録音する時のミキサーはもっと帯域の広い機材を使っていると信じていますが、現状は、CDを前提にした機材ではミキサーにしてもイコライザーにしてもイフェクターにしても帯域はせいぜい50KHz程度と思われます。昔のアナログの機材は多分帯域は十分ありました。したがって、LPレコードは100KHzぐらいまで帯域が確保できていたわけで、こういう機材とこの時の録音技術でSACDのマスターを作れば、きっと、レコード以上の音がSACDで作れるように思います。

記録メディアとしてのレコードとCDは以上のような理由で明らかに差があります。ただ、この差を認識できるような再生系はアンプにしてもスピーカにしてもかなり高価なシステムが必要になるようで、私たちのような一般庶民にはなかなか手が出ませんね。
もうひとつ、人間の感覚ほどいい加減なものはありません。しかし、研ぎ澄まされた人間の感覚は機械をはるかにしのぐものがあります。レコードとCDの差を聞き分けるにはこの研ぎ澄まされた感覚が必要です。そういう耳で聞くと、メーカのカタログデータでは出てこない音の差が聞き分けられるんでしょうね。

アンプやスピーカになどについてもコメントしたいのですが、長くなるので、次の機会にしたと思います。


なお:

私はノスタルジックな世界の懐古主義ではありませんので、stoshiさんのおっしゃるように、SACDDVD-audioが早くアナログを越えて欲しいと思っています。
そこまで、必要ないのでは、という意見も多いかもしれませんが、それでは、思考停止してしまっています。そこは科学技術を追求していただきたいと思うのです。この科学技術に関しては思想も関係してきますので、非常に難しい側面もありますが、これからの循環社会(日本のアニミズム信仰観)とベクトル合わせして進んでもらいたいと願っていますし、訴えていきたいと思っています。


Sさん:

昔は音楽を聞く手段は、生のコンサートを聴きにいくか、レコードを聴くしか選択肢がありませんでした。現在は、レコードあり、CDあり、SACDあり、WalkmaniPodに代表される音楽プレーヤーあり、いろいろな選択肢が提供されてきたと言うことと考えています。それぞれの長所、短所を考えて、自分のライフスタイルに合った音楽を楽しめるようになったということで、自分の価値観にあった手段が選べるようになってきました。音の質を重視する方はアナログレコードやSACDで高価なオーディオ機器ですばらしい音楽を聴くことができるし、場所を選ばず手軽に音楽を楽しみたい方はiPodが便利です。アナログかデジタルかという議論も面白いですが、大事なのは、自分の価値観と、それにあった手段で音楽が楽しめる選択肢が増えたということかなと思います。


なお:

そうですね、趣味の問題ですので、価値観に関わることですね。
There is no acounting for tastes.ですものね。

 しかし、私は極端なハイエンド志向かもしれませんが、拘っているのです。批判もありますが、また、その批判も甘んじて受けた中で、その拘りを続け、次の思考を生み出していきたいと思います。中間でいると何も私に与えてくれないような気がしています。ですから、皆さんに強要するようなことはしません。しかし、どんどんと私に言って頂ければとても嬉しく思います。生の音を聴くことはとても重要で、聴きたい、と思っています。その生の中でも一流の楽器で一流の奏者を聴きたいと思っています。これも実証されているようですが、そのほうが可聴帯域外の高周波が出ているそうです。
心地よさの低周波のα波も多く受け取れるようです。