三島由紀夫の『文化防衛論』

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 最近、昭和30~40年代のものを読んでいます。

 オーディオのことをここのところ書いていますが、

 最近は圧倒的に本を読む時間のほうが多いのです。

  一日一冊ペースという感じでしょうか。

 次から次へと「読んで欲しい」と本棚の本が叫んでくれているようです。

 司馬遼太郎の『人間の集団について-ベトナムから考える』も思想書として読みやすいながら

 その深さを感じました。

  ベトナム戦争については、私は小さいながら「ベトコン」という言葉を私の口から発して
 いたことを思い出しました。

  もう書ききれないくらい色々と読んでいますが、月曜日の休みに読んだ本がこの

 三島由紀夫なんです。

  京都について読もうと思った時に、彼の『金閣寺』を再度読まなくては、

 と思ったことからネットで三島由紀夫の著書を探したらこの本に出会ったのです。

 早速購入して、読みました。

  これは乱読ではなく、精読する書、それも何回も読まないと本当の主張が見えてこない
 深さを感じました。

  さすがに乾坤一擲の書という読後感でした。

  最後の主張が「天皇と軍隊を栄誉の絆でつないでおこくこが急務」とあるのですが、さすがに
 右だな、というところでしょうが、

  ここに至る文章の流れ、説得性には素晴らしいものがあります。


  そこから、私の考えを少しばかり…


     三島由紀夫の『文化防衛論』に

      「文化主義の裏にひそむ根底的なエゴイズムと恐怖の心理機構は、
       自己の無力を守るために、他者の力を見ないですまそうとする
       ヒステリックな夢想に帰結する」とあります。
 
       私が主張している文化の重要性はこのような「主義」に陥ることでは
       なく、その文化を紡いできた歴史の一地点を切り出してみて、その主体者
       になろうとする努力を通し、現在の日本、日本人、それに自身の立ち位置
       を考えかつ諸外国の歴史、現在の文化・文明の相対的な比較から、自ずから
       導き出す全体観の養成が重要だ、ということです。

  
   彼の論文を読み解くと、幾らでも会話ができるものです。

   恐ろしいほど凄い人だったのですね。改めて感じました。