各社、整流管GZ34(5AR4) 比較視聴

以前にも比較しました。
その時の記事を読まずに書きたいと思います。

その時とは、プリアンプもシングル・パワーアンプもかなり違ったものになっています。
ウルトラ・スーパー化していることと、他の真空管も違っています。

まずプリアンプには、テレフンケン(TELEFUNKEN)のECC83からECC803Sに変更しています。
それからパワーアンプには同じくテレフンケンのEF86からEF806Sになっています。

あまり市中での品数が多くないことと、やはり音が良いことでヴィンテージものとしてプレミア価格に
なっています。

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左から、東芝製の細管・太管(日本)、バルボ製(ドイツ)、テレフンケン製(ドイツ)、ムラード製(イギリス)、ソブテック製(ロシア)
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TELEFUNKENのEF806S
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山崎ハコのファンとして『風の色』の「ヨコハマ・アンバランス」という曲だけで比較視聴しました。あまりに偏っていますね(笑)
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今回視聴用のシングル・パワーアンプ 出力管は東芝の6L6です。

クラシックもジャズも聴かずに、このボーカルの一曲だけで、評価するのは如何かとは思いますが、
とりあえずの印象です。



  東芝製 細管

 東芝は2つのタイプがあり、細いのはやはり音にも現れています。
 若干音が細い気がします。

  しかし、帯域は広く、高域も良く伸びています。
 ただその細さが、その場(録音スタジオ)の雰囲気まで伝える能力が不足している感があります。


  東芝製 太管

 こちらは音が太く聴こえます。
 しかし、細管ほど、帯域は広くありません。

  狭くはないのですが、上記の表現と合わせると、その場の雰囲気は出し切れないのです。

 両方の良さを合わせれば、相当な評価に鳴るのでしょうが…。


  バルボ製

 これは、今このアンプに標準管として使用しているものです。
 華やかになります。
 帯域も広く、音も太くて場の雰囲気まで伝えてくれます。
  やはり、これは使える、という感じです。


  TELEFUNKEN

 この真空管はモノラル・アンプの標準管として使用しています。
 これは以前から素晴らしい整流管として評価していたものですが、
 やはり大したものです。
 
 帯域は広く、音も太い。場の雰囲気も出します。
 そんなことより、
 まず何と言っても静かなんです。

  大人しい鳴り方なので、ドンシャリ好みの方には不満はありそうですが、見事に
 空間の中で、立体的です。


  MULLARD製

 有名な真空管です。
  バランスは見事でした。
 しかし、高域の伸びが不足しているのか、超低域も不足しているのか、
 天井の高さが低くなります。
  我が家のシステムは非常に帯域が広いので、
 おそらく市販品のトランジスタアンプではこの帯域を出すのは難しいと感じているくらい
 ですので、
  その帯域の狭さがどうも窮屈です。

  バランスが良いので、とても上手く使っていらっしゃる方はいるでしょうが、
  我が家では今回一番評価の低いものになりました。


  SOVTEK製

 ロシア管は現役の中ではとても優秀だと感じています。
 今回も上から下までバランスよく聴かせてくれました。
 しかも帯域も広くです。

  ただ、私としては使えないのは、音が細いのです。
  音の太さとは、その芯が太いことを言っています。
  それがどうも細くて、長時間聴くには辛くなります。

  我が家の音はとてもシビアで、鋭利な刃物のような音を出しますので、
 音の芯が細いと聴いてられないのです。

  今回はボーカルのレコードを使いましたので、それほどチェックできるところは
 多くはありませんでしたが、

  ハーモニカ、シンセサイザー、シンバル、肉声などやはり結構あります。

  兎に角、スピーカーから音が出ていると感じるものはダメだということです。
 
  シンバルも高域からカシャカシャ、シャリーンと大きな音で聴こえるのはもう最初から
 だめです。
 
  高級オーディオショップで、それが心地よい感覚で鳴らしていますが、
 聴いた瞬間で、スピーカーから音が出ているな、と感じてしまう。

  シンバルが一番前で、演奏しているなんて可笑しな話です。

  奥で鳴っていながら、スティックで叩いたり、シンバル同士が重なる瞬間の擦れの
  リアリティさが出て欲しいのです。

  このような鳴らし方をするには、スピーカーの向きは聴き手の私の中心のピンポイントに
 合わせる必要があります。
  
  真っすぐの向きでは、その微細さまでの追及はできません。

  少し話がそれましたが、

  そんな細かなところの要求に応えてくれたのが、今回はやはりテレフンケンとバルボでした。

  東芝もCDには使えますが、本当に追い込んでいくには少し役不足を感じるこの頃です。

  もちろん、ケーブルやその他アクセサリーによって色々な調整は可能でしょうが、
  本質のところはカバーできないのだと感じています。

  とりあえず感じたことを書きました。