物語の始原へ 折口信夫の方法

宗教界の大御所である宗教史・思想史学者の山折哲雄さんの本です。

お会いした時に、「この本読ませていただきました」と申し上げると、なんと難しいのを読んでますなぁ~と仰ったのを思い出します。

笑いながら、私もようわからんのですわ、と。

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この本はかなり前に読んでたのですが、最近、折口信夫を読み直していますので、また読み直してみました。

示唆に富む箇所は沢山あるのですが、この欄に書く時は、やはりオーディオとの対話的な意味合いがあります。

112ページに、

「本物」のなかに俗物的ないかがわしさを嗅ぎ分ける余裕が失われ、逆に「偽物」のなかにほんものの諧謔を感知する精神が蒸発してしまっているといえないか。

だが振り返ってみれば、この本物と偽物との中間領域にこそ、実は自在な観念が飛翔しはるかな想像力の世界がひろがっているのではないだろうか。・・・換言すればそれは虚々実々被膜の間といった領域なのである・・・、と。



オーディオは本物ではありません。偽物と言われれば、そうかもしれません。モノです。人工物です。

山折哲雄さんが書かれている「本物を嗅ぎ分ける」モノでありたいと思っています。「偽物」のなかに諧謔を感じるまでの空気感を再現したいと常々思っています。

氏のいう「中間領域」に存在感を示し、「自在な観念が飛翔しはるかな想像力」を発揮出来る場にしたいと。虚々実々被膜の間のモノが物言う、細部に霊・魂の感じる愛着あるモノにしたいし、それとの対話を重ねたいと思うのです。